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てんかんに関連する研究

てんかんに関連する研究

CBDサプリメントは日本人のてんかん発作を抑制  聖マリアンナ医科大学の山本仁特任教授・太組一朗教授らによる研究チームが国内初の調査結果を学術誌にて報告(2022年12月)

概要:
聖マリアンナ医科大学てんかんセンターの山本仁特任教授・太組一朗教授(日本臨床カンナビノイド学会理事長)と正高佑志医師(一般社団法人Green Zone Japan)らの研究チームは、国内のCBDサプリメントを使用中の難治てんかん患者・家族を対象とした匿名のオンライン調査を実施し、その安全性や有効性について初めて明らかにしました。本研究成果は2022年12月発行の”Neurology Asia”に掲載され、以下の URLから無料で参照頂けます。
neuroasia-2022-27(4)-891.pdf
 
研究背景:
大麻草に含有される成分の一種であるカンナビジオール(CBD)は現在、難治てんかんの治療薬として聖マリアンナ医科大学を中心に臨床治験が準備されていますが、同成分はサプリメントとして日本国内で先行して流通し、一部の患者が医療目的に使用しています。これらの安全性や有効性についての評価は過去に行われたことがありませんでした。
 
方法:
2021年6月にCBDを服用している難治性てんかん患者家族38名にオンライン自記式質問票を送付し、回答を依頼しました。
 
結果:
38名中28名から回答が得られました。診断として最も多かったのはウエスト症候群(7名)でした。15名(53.6%)の患者が発作頻度の減少を報告し、そのうち2名(7.1%)では発作が完全に消失していました。患者の診断名や発作型と治療効果の間に有意な相関は認められませんでした。 

9 名の患者(32.1%)になんらかの有害事象が認められましたがいずれも軽度であり、有害事象を理由にCBDを中止した例はありませんでした。CBD摂取量の中央値は12.0 mg/kg/dayでした。 

本研究成果の意義:
これは日本国内で流通しているCBDサプリメントがてんかん発作抑制に有効であることを示した初めての横断調査であり、日本人を含むアジア人種にとってもCBDが効果的であることを示唆する結果です。
また現在国内で進行中のCBD医薬品(Epidiolex®️)治験対象はドラべ症候群、レノックス・ガストー症候群、結節性硬化症に伴う難治てんかんに限られていますが、本調査はその他の難治てんかん患者にとっても、CBDが有効な治療選択肢となる可能性を示唆するものです。
 
掲載論文についての詳細:
タイトル:Cannabidiol supplement reduces epileptic seizures in the Japanese population: Cross-sectional study for intractable epilepsy patients
著者:正高佑志(研究責任者)、杉山岳史、太組一朗、山本仁
掲載誌:Neurology Asia 
発行:ASEAN Neurological Association
ISSN:(ISSN 1823-6138)
URL: neuroasia-2022-27(4)-891.pdf
 
 

「日刊薬業」 (2021年2月24日、3月31日)

てんかんセンター副センター長、太組医師が班長を務める研究班の記事が「日刊薬業」へ掲載されました。閲覧ページ


厚生労働行政推進調査事業費補助金(厚生労働科学特別研究事業)
難治性てんかんにおけるカンナビノイド(大麻抽出成分)由来医薬品の治験に向けた課題把握および今後の方策に向けた研究 
 
班長:太組一朗 
(聖マリアンナ医科大学 脳神経外科准教授・てんかんセンター副センター長)
 

詳しい研究内容につきましては、カンナビノイド(大麻抽出成分)由来医薬品の治験に向けた研究(太組班)のホームページをご覧ください。
LinkIcon http://cannabinoid-kenkyu.com/

 

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